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「の映画」

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ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

映画情報

だいたいこんな話(作品概要)

アメリカIMFに所属するエージェント、イーサン・ハントが活躍するスパイ・アクション・ムービー「ミッション:インポッシブル」シリーズ第5弾。

CIA上層部によってIMFは存続の危機の中、イギリス諜報部MI6の思惑も交錯し、後ろ盾のないイーサンは存在の証明さえ不可能と思われる謎の秘密組織「シンジケート」を追う。

しきりに取り上げられる、トム・クルーズ自らスタントなしでこなした離陸する飛行機にしがみつくアクションは、映画の冒頭部分でいきなり使われるが、決して尻すぼみににはならない、CG依存度の低い、見どころたっぷりの痛快娯楽作品。

わたくし的見解

ホラーやサスペンス、映画ならばアクションも人気ジャンルのひとつに違いない。その中に、まことしやかに存在しているのが「トム・クルーズの映画」というジャンル。

それは淀川長治さんがご健在だった頃、日曜映画劇場で何かにつけて放映していたシュワルツネッガーの映画に近い。

SFだろうが、サスペンスだろうが、さらにアクションも加わる盛り沢山の娯楽映画で、とにかく掛け値なしに面白い。ハズレなしの安定感が、政治家に転身する前のシュワルツネッガーの映画にはあった。

現在、娯楽映画ここに極まれり、を担っているのがトム・クルーズの映画。シュワルツネッガーでは今ひとつピンとこなかった、ラブロマンスまでいける口である。

大人の俳優への転身を目指していた頃は、確実にオスカーを意識している出演作の選び方だったが、そんな時期を過ぎて以降のトム・クルーズは、何か吹っ切れたのか観客が喜ぶ映画作りにベクトルを向けている。実力派あるいは旬な監督や脚本家を起用する名プロデューサーでもある。

スタア俳優でありながら(監督こそ手がけはしないが)クリント・イーストウッドロバート・レッドフォードに続く、業界への貢献度の高い素晴らしい映画人と言えるだろう。

定期的に「アウトロー」「ワルキューレ」「コラテラル」などで非情な男を演じて見せつつも、ファンサービスに徹する娯楽映画の極みとして「ミッション:インポッシブル」シリーズは、まさにトム・クルーズ『の映画』なのである。

このシリーズの作品はいずれも面白い。作品ごとに違う監督の特色を見て取るのも楽しみのひとつだ。

私は、ピクサーアニメーションのブラッド・バードを監督に抜擢した前作「ゴースト・プロトコル」を特に気に入っている。そこでエージェント(現場のスパイ)に昇格して登場した、サイモン・ペッグ演じるベンジーが今回も活躍を見せている。

前作と比べると「ローグ・ネイション」はシリアスな仕上がりなので、お調子者ののベンジーの存在は丁度いい箸休めになっているのだが、そのベンジーが重要な役回りであるのは、今回は友情や信頼をテーマにしているためだ。

ヒロインの存在も、主人公イーサン・ハントとの初対面にして全幅の信頼を抱ける者同士として描かれている。

前作、前々作においてイーサンの最愛の女性ジュリアとのいきさつがあった後の作品なので、いきなりロマンスも不自然と考えての流れかもしれないが、魅力的な女性でありながらイーサンにとっては鏡に映った自分のような存在。諜報員としてのスキルの高さだけでなく、それを生業にして生きる者の悲哀を瞬時に感じ取ったとも言える。

前述したとおり作品は全体的にシリアスな印象が強く、騙し合いに次ぐ騙し合いの展開は、監督の出世作が名作B級サスペンス「ユージュアル・サスペクツ」(脚本を担当)であるというのが妙にうなずける。

しかしながら「ローグ・ネイション」は、シリーズのファンを十二分に満足させるほど、アクションのクオリティーも高い。

新作のたびに、トム・クルーズもさすがに老けたなと感じるのだけれど(どのみち老けた顔も老けた顔なりに格好がよろしく、このままカッケー爺さんになるに違いないが)そんな顔とは反比例するように、年々ムキムキに鍛えられていく体は一体どうした事か。

老いを感じさせないための手段であるにせよ、挑戦するアクションもどんどん過激というかアニメちっくというか、ほとんど「ルパン三世カリオストロの城」レベルまできていて、もしかすると、トム・クルーズは最後のジャッキー(チェン)イズムの継承者なのでは? と、この頃信じて疑わない。

あと何作このシリーズで、イーサン・ハントを演じるトム・クルーズを観ることができるのだろう、という一抹の寂しさと共に、いよいよ次回作ではエンドロールでアクションNG集を見られるかも、という期待も膨らんでしまうのだ。