映画ザビエル

時間を費やす価値のある映画をご紹介します。

キアヌ無双

f:id:eigaxavier:20190514133147j:plain

 

ジョン・ウィック
ジョン・ウィック:チャプター2

映画情報

だいたいこんな話(作品概要)

裏社会では知らぬ者がいないほどの殺し屋、ジョン・ウィック。「1本の鉛筆で3人の男を殺した」など、伝説のように語り継がれるエピソードの持ち主だが、愛する妻ヘレンとの生活のために完全に足を洗って久しかった。

ところが、ヘレンは長い闘病生活の末に亡くなってしまう。失意の中にいたジョンの元に、生前のヘレンが一人残されたジョンのために手配していた仔犬が届けられる。妻の想いに報いるためにも、ジョンは仔犬デイジーと共に穏やかな暮らしを取り戻しつつあった。

そんなある日、ロシアンマフィアのトップであるヴィゴ・タラソフの息子、ヨセフがジョンの愛車69年式フォードマスタングに目を付けた。ジョンが何者かを知らないヨセフは、自宅に押し入り、その際に吠えてきたデイジーを蹴り殺してマスタングも奪って行った。

妻との最後の繋がりともいえるデイジーまで殺されたジョンは、復讐の鬼と化し、タラソフ一家へ襲いかかるのだが。

わたくし的見解

監督のチャド・スタエルスキは、アクションやスタントコーディネーターとして名を馳せていており、それこそ「マトリックス」シリーズや「Mr.&Mrs.スミス」に携わるなどの実績の持ち主です。いわゆる、サモ・ハン・キンポーみたいな人ですね。

ジョン・ウィック」シリーズは、キアヌ・リーブスが制作を手がけているので、監督以外にも「マトリックス」で培われた人脈が活かされています。

派手なところでは「チャプター2」で登場するローレンス・フィッシュバーンマトリックスの主要人物モーフィアスを演じた)や、地味で乙なキャストとしては闇社会御用達のもぐりの医者が、「マトリックス」でキー・メーカーを演じているなど、ファンには嬉しいサプライズがちらほら。

マトリックス」とは全く違う世界観の物語ながら、作品の人気を支えたアクション要素に特化して出来たのが、この「ジョン・ウィック」シリーズと見ても良いでしょう。キアヌの無敵感を満喫する映画と言えます。

ただし「マトリックス」のアクションと大きく違う点は、仮想現実の闘いを映像化していた、あの無重力感やワイヤーアクションによる浮遊感は使わず、重力感たっぷりでリアル・ガチの「しばき合い」が見られるところです。

いつの頃からか、このようなアクションが主流になってきましたが、「ジェイソン・ボーン」シリーズなどと同様に、主人公はべらぼうに強い前提がありつつも、ともすれば地味でリアルな気がするけど、実は計算し尽くされたクールな殺陣。そして、とにかく痛そうなアクションが、それを期待する層の人気を獲得するポイントなのかも知れません。

ジョン・ウィック」シリーズは、監督の十八番、真骨頂である洗練された見事な殺陣を鑑賞する作品です。しかも、それが往年の時代劇のように「百人斬り」的長尺でこれでもかと魅せてくれる。そのため、ストーリーはアホみたいです。

1作目では、まだ復讐の動機が丁寧に描かれていますが、2作目ともなると何をそんなにムキになって闘っているのか、ストーリーに全く説得力がありません。それでも良いのです。多くの人が期待する通りの、キアヌ無双が「チャプター2」でも披露できたのでしょう。こんなに中身が無いのに、すでに3作目の公開が決まっているという勢いは評価に値します。

大抵のシリーズ作品に倣って、続編ができるごとに内容が薄くなっていますが、私は3作目も必ず観るでしょう。何しろ次回作では、キアヌは世界中の殺し屋から命を狙われるのです。

かつて「マトリックス」で、エージェント・スミスがわらわら増殖してネオに襲いかかったように、またキアヌが多勢に無勢の敵をバッタバッタと斬り倒す姿を楽しみたいと思います。

たまには、馬鹿みたいな映画が観たくなった時に是非どうぞ。その系統の作品としては、かなりのお薦めです。