映画ザビエル

時間を費やす価値のある映画をご紹介します。

スペース☆ダンディ

f:id:eigaxavier:20170703172518j:plain

インターステラー

映画情報

だいたいこんな話(作品概要)

異常気象によって砂漠化が進み居住できる場所だけでなく、人類の存亡にかかわるほどの食糧不足に見舞われている近未来の地球。二人の子供の父親である、元宇宙飛行士のクーパーは、人類が、愛する家族が、生き残れる新たな惑星を探索するプロジェクトに参加する。

わたくし的見解

インターステラー」は、2014年公開作品ではピカイチの傑作であったと思います。もちろん、幅広い層の観客に楽しんでもらえる映画ではありませんが、少なくともクリストファー・ノーランの作品史上、最高の出来だと私は感じました。

正直、クリストファー・ノーランの新作が宇宙ものだと情報を得た時点では、違和感がありました。うそん、ホンマに大丈夫? などと劇場に赴くまでの間、思いをはりめぐらせるほどに。

しかし、はりめぐらせてみるものですね。比較的近年の作品「インセプション」での、眠りの深度に比例して時間の速さが異なる設定のなかで物語を進めていくアレ。

私は面白く鑑賞しましたが、少々込み入っていてややこしかったのも事実。時の流れの速度は異なる場所にありつつ、それぞれの場所での物語が同時に進んでいくという設定は、宇宙でやれば面倒な説明もかなり端折れるし。

クリストファー・ノーランといふ人は、そのようなことに余程興味があるのだなと納得しつつ映画を観始めたら「インターステラー」は、ものの見事に裏「インセプション」でした。と言うより「インターステラー」のダークサイドが「インセプション」であるような印象を持ちました。

さて、作品をご覧になった方は「スペース☆ダンディ」って何だよ。百歩譲ってもダンディじゃなくて、ダディだろ?! と、お思いかも知れません。

スペース☆ダンディ」は、2014年にTV放映されたアニメで、相対性理論は言わずもがな、様々な宇宙ネタをぶっ込んでくるけれども内容はないよぉ。みたいなノリの、悪く言えばフザけた、良く言えば遊び心満載の作品です。

インターステラー」を観て、往年のSF作品を想起された方が多いようですね。さすがに鈍い私も、モノリス型のロボットを見て「2001年」が頭をよぎったものの、記憶に新しいせいか、かつての傑作よりも「スペース☆ダンディ」のことばかりが思い出されてしまったのです。

スペース☆ダンディ」では、主人公の元カノに4次元宇宙の女性がいて、その元カノの前彼が2次元宇宙人で、4次元の彼女とヨリを戻すために宇宙ごとワープしてきたせいで、主人公たちの居る3次元宇宙が2次元宇宙に飲み込まれて、さあ大変! とゆー円城塔さん脚本のエピソードがありまして。「インターステラー」で、ワームホールがどーのと云ふくだりでは、このエピソードが私の頭を支配。

その他でも何かにつけて「ダンディ」が頭に浮かんでしまっていた私は、そのうち、にわかに紐がヒョロりと出てきて、アン・ハサウェイが「あ、何かついてますよ」と紐を引っ張ったら別の次元にすっ飛んで行ってしまうのでは、と結構ずっとハラハラしていました。

(これは「ダンディ」で何度か出てきたネタで、果たして「ひも理論」の紐ってそんな紐なのか? 絶対違う気がするけど、まぁいいや。このいい加減さが、まさしく「ダンディ」のノリなのです)

洋服の糸くずにしろ、人体に生える福毛にしろ「インターステラー」では、にわか出てきた紐を思わず引っ張ってしまうことなく物語は進み、ここまで大風呂敷を広げておいて、まさかの夢落ちで片付けられることもなく安心しました。

インセプション」の時は、階層が幾つもあったせいで盛り沢山だけど詰め込み過ぎ感が否めなかったですが、今回は、あっち(地球の娘)とこっち(宇宙の父)とゆーシンプルな構図のおかげでドラマも伝わりやすく、その点も大きく評価したい。なんか、いつもより明るくて良かったでしょ。

と同時に、クリストファー・ノーランは、時間の流れの違う場所でたった一人取り残されること、その絶対的孤独みたいなものに、どうしても関心があるのだなと、つくづく感じました。

いつもそこ(違う場所)に取り残された人を迎えに行こうとする物語で、それ自体はラブストーリーみたいになり得るのだけど、そこまでたどり着けない可能性の大きさに絶望したり希望を見出そうとしたり。

まあでも今回は、不可逆でもないじゃんよぉ。みたいな話だったから、希望でいいのかなと思いました。本当は有名な人の言葉なのかも知れませんが、解明も定義も出来なくても「愛は観測できる」って台詞にチョッチ感動。科学者っぽい、こじつけに萌えます。